リスクを知ることが予防の第一歩
食事をした後、私たちのお口の中では何が起きているのでしょうか?
もともと私たちの口の中には病原性のないものも含め常時400種類以上の菌が住んでいます。お口の中で食物が咀嚼される時、歯の周りに虫歯菌が住み着いていると、食物中の炭水化物(糖)を栄養素にして強い「酸」を産出します。そして、お口の中の酸性値(PH)が急激に上昇します。そうすると歯を構成している物質(リン酸・カルシウムなど)がイオン化して唾液中に溶け出し(脱灰)、歯の結晶構造が弱められてしまいます。
しかし、唾液やフッ素の働きによってお口の中の酸性度が緩和されると、唾液中に溶け出してしまったリン酸イオンやカルシウムイオンが再び歯質に戻り(再石灰化)、歯の結晶構造を立て直し始めます。
このように、食事をするたびに私たちのお口の中ではこのような目に見えないサイクルが繰り返されているのですが、どちらかのバランスが大きく崩れた時にむし歯や歯周疾患の弊害が起こってきます。
むし歯リスクは生活習慣や、食生活など、個人によって原因が大きく異なりますので、十分なデータと正確な診断が必要です。しかしながら、あらかじめ自分の「むし歯になりやすさを」知っておけば、悪化してから歯科医院に駆け込むことなく、自分でリスクをコントロールすることが可能になるのです。