咬合治療

歯科医院でたまに耳にする咬合(こうごう)とは、歯のかみ合わせのことです。
「ちゃんとごはんも食べられるし、私は歯のかみ合わせには問題がない」「歯並びがいいから私は大丈夫」と思われるかもしれませんが、実は症状が出ていないだけで、かみ合わせが正しくないことがよくあります。

かみ合わせが悪くなる原因

かみ合わせが悪くなってしまう原因は、先天的(遺伝的)なものと後天的(環境的)なものに大きく分けることができます。

生まれつきの骨格の問題などでかみ合わせが悪くなってしまうのは先天的なものが原因と言えますが、指しゃぶりや頬づえ、口呼吸などの生活習慣でかみ合わせが悪くなってしまうのは、後天的なものが原因です。

上下の顎のバランスが悪いまま大人になると、顎の関節(顎関節:がくかんせつ)や顎の周りの筋肉のバランスも悪くなってしまいます。そのままでいると全身のバランスも悪くなり、体に症状が出たり、顎に痛みが出てきたりします。
これは、かかとの高さが違う靴をはいて歩くのに似ています。体が元気なうちは、「これでも歩けなくはないし、まあいいか」と思ってそのまま歩き続けていると、そのうち膝が痛くなり、腰が痛くなり、全身がだるくなってすぐに疲れてしまうはずです。

かみ合わせが原因で出てくる症状

まず、多くの人が気付くのが、顎の痛みや顎が鳴るといった症状です。
口を開くと顎に痛みがあったり、顎が鳴ったり、口を大きく開けることができない――これらは、顎関節症(がくかんせつしょう)の典型的な症状です。

  • その他、頭痛、肩こり、首のこり、腰痛など、不定愁訴と呼ばれる症状、
  • 耳の痛みや耳鳴り、難聴やめまいといった、耳周辺に出る症状、
  • 目の疲れや充血、涙が出るという、目の周辺に出る症状、
  • 歯や舌の痛み、味覚異常、口が乾く、食べ物を飲み込みにくい

といった、口関連の症状など、一見、かみ合わせとは無関係に思われる症状が出る場合もあります。

顎(主に下あご)は、単に上下左右に動くだけではなく、非常に複雑な動きをして食べ物を噛んでいます。私たちがごはんを食べるとき、歯が受けた刺激が脳に伝わって、脳は顎を動かす筋肉に「顎をこう動かしなさい」という指示を出します。かみ合わせが悪いと、悪い刺激が脳に伝わって、脳は「かみ合わせをずらすように!」と顎の筋肉に指示します。

すると、顎がずれますから顎の筋肉が疲れ、首の筋肉が疲れ、肩の筋肉も疲れて頭痛になります。疲れた筋肉をフォローするために肩が上がり、肩が上がった分のバランスをとるために首が傾き、背骨や腰にも影響を与え、全身がゆがんで骨盤などにも影響が出てきます。体のゆがみによって神経が圧迫された箇所によっては、他にも様々な症状が出てくる可能性があります。

もちろん、上記に挙げた症状すべてがかみ合わせだけで解決するとは限りません。
複合的にいろいろな要素が絡んで、全身の症状となってあらわれる場合があります。歯科矯正治療中に、一時的に症状があらわれることもあります。しかし、他のあらゆる治療をためしたけれど一向によくならない場合、かみ合わせという原因が見落とされている可能性があります。

良いかみ合わせ、正しいかみ合わせとは

かみ合わせたときに、すべての歯が同時に接触する状態が理想です。どこか一本(あるいは数本)の歯が邪魔をして全体の歯が接触していない場合、たとえ見た目の歯並びがきれいであっても、それはかみ合わせが正しいとは言えません。

私たちがごはんを食べるとき、一番噛みやすいところで食べ物を食べようとします。邪魔する歯があったり、噛みにくい箇所があったり、痛むところがあったら、そこを避けて食べ物を噛みます。
痛かったり噛みにくくないところで食べ物を噛むということは、つまり顎を本来の位置からずらしているということです。顎の関節の位置が変わると筋肉が緊張 した状態が続き、徐々に問題が出てくるようになってしまいます。一番噛みやすい位置が、顎関節の本来の位置とイコールであるという状態が、良いかみ合わせ と言えるでしょう。

かみ合わせ治療について

どのような歯科治療でも、かみ合わせの問題を避けて通ることはできません。
その方に一番最適かつ安定するかみ合わせのバランスを整えることは、あらゆる治療において根源的な絶対条件であり、最も注意すべき重要なポイントのひとつです。
当院では、一本一本の歯の噛み合わせの面を、咬合紙(こうごうし)という赤色と青色の薄い紙を使って細かくチェックしていきます。患者さんに、赤色や青色の紙を歯でカチカチ噛んだり、左右にギリギリと動かしていただきます。悪い当たりがないかを注意深く確認しながら、ほんの少しずつ、ミクロン単位で調整していきます。

予防が一番大事です

むし歯になれば歯を削って詰め物やかぶせ物をします。そのたびに、かみ合わせが変わります。歯が抜けてしまえば、失った歯の代わりを入れなければいけませ んから、そのたびにかみ合わせが変わります。歯周病がひどくなると、歯ぐきが弱って歯がグラグラになりますから、かみ合わせも変わります。かみ合わせが変 わったことで、歯並びが悪くなってむし歯になりやすくなったり、歯周組織に負担がかかって、さらに歯を失いやすくなったりします。

そもそも、むし歯や歯周病を防ぐことが一番大切だと言えます。
むし歯も歯周病も、定期検診を受けてクリーニングすることで、予防することが可能です。

むし歯や歯周病にならない生活習慣、かみ合わせを悪くしない生活習慣を心がけて、数ヶ月に一度の歯科医院での定期検診を受けて、あなたの歯を守ってください。

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